緑内障
緑内障
【緑内障とは】
眼球の中には、眼球を一定の圧力を保つために房水(ぼうすい)が流れています
その房水の排水口(=前房隅角(ぜんぼうぐうかく))が何らかの原因で詰まり眼圧が上がると
圧迫による栄養障害によって、視神経の働きが損なわれ
視力・視野障害を起こしてしまいます
それが【緑内障】です
緑内障によって、一度失われた視野(見える範囲)は回復できません
視野狭窄は、中心ではなく周辺から始まります
進行して中心部に及んで初めて
「見え方がおかしい」「視力が落ちた」と気が付きますが
もし片眼の症状が軽ければ、普段両目で見ているので更に発見が遅れることもあります
緑内障は初期は自覚症状がなく末期まで症状に気が付かないことがあります
それが緑内障の恐ろしいところです
緑内障は検診や他の症状で眼科を受診した際に偶然発見されることも多いです
そのため、検診が早期発見には重要になってきます
緑内障の治療では
①視力、視野障害の範囲をできるだけ小さくする
②進行をできるだけ遅らせる
ことが大事になってきます
そのため、緑内障の病気は、早期発見、継続的な治療(眼圧のコントロール)が大切です
もし、緑内障と言われたら…
基本的にはずっと経過観察、治療が必要になってきます
【緑内障】を正しく恐れて、付き合っていく(治療を継続していく)ことが大事だと思います
緑内障の治療の基本は【眼圧を下げること】です
眼圧というのは
目の中を循環している房水(ぼうすい)が、何らかの原因により排水されずにいることで
上がっていきます
房水の排出の手助け(=眼圧上昇を防ぐ)を、点眼治療やレーザー治療、ときには手術で行っていくのが
緑内障の治療です
※それぞれの治療法について詳しくは別項目をご参照ください※
【緑内障の種類について】
一言で緑内障と言っても、いろいろな種類があります
ご自身がどの緑内障のタイプなのかを知ることも、治療の上で役立つことになります
【成人になってから発症】
≪原因による分類≫
①原発緑内障…緑内障の原因となる他の眼病のないもの
②続発緑内障…他の眼疾患が原因でおこった緑内障
糖尿病、ぶどう膜炎、角膜の病気、目の手術後、
ステロイドなど薬の副作用
眼圧が高い
≪眼圧による分類≫
③眼圧が高い緑内障
④正常眼圧緑内障…日本人に多い、眼圧が正常値でも、眼圧のコントロールが必要
※③④とも原発緑内障
≪隅角(ぐうかく)(=角膜と虹彩(こうさい)の間の房水の排水口)の狭さ広さによる分類≫
※隅角が狭い=房水の排水口が狭い=眼圧上がりやすい
⑤開放隅角緑内障(隅角広い)…
隅角は広いが繊維(せんい)柱(ちゅう)帯(たい)(房水の排水口にあるフィルター組織)に問題がある
→房水が流れにくい
⑥閉塞隅角緑内障(隅角狭い)…
隅角が狭い=房水の排水口が狭い=眼圧上がりやすい
【子どもの緑内障】
≪生まれつきの緑内障≫
⑦発達緑内障(先天緑内障)…
頻度はまれ、隅角の発育不全によりおこる
子どもは自覚症状を言いづらいので発見が遅れることも
黒目(角膜)が大きくなることがある=「牛(ぎゅう)眼(がん)」
【高齢者、急に進む緑内障】
⑧落屑(らくせつ)緑内障…
虹彩の先端(瞳孔領)に白い沈着物が付着し、
これが瞳孔の動きに伴い前房内に入り込み
繊維柱帯(房水の排水口にあるフィルター組織)が詰まることによりおきる
⑨急性緑内障発作…
遠視の人の白内障の進行によりおきることがある
隅角(=角膜と虹彩の間の房水の排水口)が急に閉塞しておこる
突然、目が赤くなる、視力低下、眼通、頭痛、嘔吐
急性緑内障発作の場合、すぐに眼科受診を
発作が起きる前の予防が大切
予防は、レーザー治療か、早めの白内障手術
(※さらに詳しくは、急性緑内障発作の項目をご参照ください)
【補足】
⑩高眼圧症…眼圧が高くても緑内障ではない、経過観察が必要
以上のように実は【緑内障】には、いろいろな種類があり、驚きですね
例えば、緑内障の原因や分類によって、治療法が変わる場合もありますので、
自分がどの緑内障か知ることは、治療方法の理解に役立つことと思います
参考文献【眼科コメディカルのための 眼科学ガイド】2005
日本眼科医会 眼科医療従事者委員会
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹
2020/8