斜視手術
斜視手術
【斜視手術の目的は…】
①安定した良好な両眼視(※1)を獲得すること
②美容的にも満足できること
※斜視手術は当院では実施しておらず、別医療機関への紹介となります※
※1【両眼視(りょうがんし)】
両眼を同時に使ってものを見ること→立体的にものを見るために両眼視は必須
2歳ごろまでに両眼視は発達するといわれ、発達には、「両眼が同じ方向を見ていること(斜視でない)」が必要
【手術を考慮する時期は…】
※斜視手術は当院では実施しておらず、別医療機関への紹介となります※
①両眼視が獲得できる時期
生まれつきの斜視や乳幼児発症した斜視は、2歳までの手術を考慮することがあります
ただし、弱視を合併していれば、弱視治療が優先されます
②両眼視が安定しなくなった時
斜視の種類によっては、いったん獲得した両眼視が崩れることがあります
≪症例≫
◎間欠性外斜視…年齢が上がるとともに外斜視になる頻度が増え、恒常性外斜視になるケース(…常に目が外にズレていて、両眼視ができない)
◎内斜視の出現…年齢が上がるとともに内斜視が出現し、複視(ものが2重にみえる)を自覚するケース
◎麻痺性斜視(目を動かす筋肉に麻痺がありおこる斜視)…成人に多い 左右の視線が合わないため、ものが2重に見えるケース
③美容的に気になるとき
小さな頃は、本人も周囲も斜視をあまり気にしませんが、大きくなると気にするようになってきます
その場合は手術を考慮しますが、術後に、斜視は治って美容的には改善されても、物が2重に見える(=複視)などの不都合が発生することがあります
外見を優先するのか、見え方を優先するのか、よく考えて、手術を受けるかどうか決める必要があります
【手術方法】
眼球を動かす筋肉(=外眼筋(がいがんきん))に対して手術をおこないます
眼球には6本の外眼筋がついていて、協同して目を動かしています
外眼筋の位置を移動させて、力を強めたり(前転術)、弱めたり(後転術)、また筋肉を切除して力を強めたり(短縮術)します
【手術の限界】
斜視手術では、術前に精密な検査を行い、十分にシミュレーションして手術を行いますが、
一定の確率で、術前の予測と異なった結果になったり、再手術が必要になったりすることがあります
①低矯正、過矯正
手術前の予想より、効きが悪い(低矯正)、効きすぎる(過矯正)ことがあります
たとえば、外斜視なら内斜視になってしまうというようなことです
②術後のもどり、眼位変化
たとえば、間欠性外斜視では、手術直後は理想的な結果が得られても、再度外斜視に戻ってしまうことがあります(術後のもどり)
そのため年齢によっては、もどる分を見込んで、意図的に過矯正(少し内斜視気味に)手術をすることがあります
③複視
術後にものが2重に見える
小さな子どもの場合はそれほど気にならないようですが、ある程度の年齢になると日常生活に影響することもあります
その際は再手術を検討することもあります
④他の斜視の出現
まれに術前と異なる斜視が出てくることがあります
⑤再手術、追加矯正の可能性
この可能性は長年にわたってあり、たとえば幼児期に内斜視の手術を受けた後に、成人になってから外斜視の手術が必要になるといったケースがあるようです
⑥眼球運動制限
斜視の手術は、眼球を動かす筋肉(=外眼筋(がいがんきん)、片目につき6本ある)に対しておこなう手術です
手術することで、眼球が方向によって動きが悪くなり、複視を伴うことがあります
斜視手術を受けると多少の眼球運動制限は必ず生じます
上記のことがありますので、斜視手術をした後は、術後の経過観察、通院は重要です
時に、手術をした病院と、定期通院する病院が違う病院となることもあります
いずれにせよ、いざという時のために信頼できる病院にかかりつづけることが大切ですね
【手術の合併症】
①出血、感染
②術後の充血
など
斜視手術は総じて安全な手術です
手術における一般的な術後感染や出血などのリスクはありますが、その発生頻度は低く、合併症はほとんどありません
【術後の注意】
コロコロとした異物感がありますが、手術翌日にはほとんど気にならなくなります
安静は原則として必要ありません
目に細菌などが入ることを防ぐため、手術から1週間程度は、洗顔や自分での洗髪はでき
ません
【斜視手術を受けるにあたって注意すること】
①以前に斜視の手術を受けたことがあれば、必ずできるだけ詳しく担当医に伝える
眼科の診察では、過去の手術歴がわかりません
また、子どもの頃に受けた手術は、本人が忘れていることもあるので、確認してください
外斜視の治療目的の患者さんで、子どもの頃に内斜視の手術を受けている場合は、前回の手術を受ける以前の古い写真があると、昔の目の位置を確認するのに参考になります
②手術後は、物が2重に見えて困ることがあります(複視)
術後に複視が生じた場合は、生活に支障がでる場合もあります
ただ、美容的問題を解決したいので、複視は我慢するという考えの人もいます
術前に、担当医とよく相談して、手術するかどうかをご検討ください
金沢文庫アイクリニックでは、斜視の手術は実施しておりませんが、手術の適応がある場合には、適切な医療機関へご紹介します
子どもの斜視については別項目をご参照ください
成人の斜視については別項目をご参照ください
参考文献
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹
記入:2020/09/14