はやり目/流行性結膜炎/アデノウィルスによる結膜炎
はやり目/流行性結膜炎(りゅうこうせいけつまくえん)/アデノウィルスによる結膜炎
ひどい充血や、「目が開けられないほど」たくさんの目やにがでる場合、うつる可能性のある結膜炎の場合があります
眼科受診の前に「自分が人にうつす可能性がある結膜炎かもしれない」と考えて行動できると、よいと思います
結膜とは、白目の皮のことで、上下まぶたの裏側と眼球の表面を被う薄い透明な膜のことです
まぶた(眼瞼)と眼球を結びつけているので、結膜です
まぶたの裏は、眼瞼結膜(がんけんけつまく)と言い、白目のところは、眼球結膜と言います
(結膜の膜の下に見えているのは、強膜(きょうまく)で、これは、白色不透明な膜です)
結膜に起きている炎症が、「結膜炎」です
ウィルスを原因とした結膜炎について説明します
結膜炎には、人に伝染しやすいものがあり、「流行性結膜炎」(りゅうこうせいけつまくえん)といいます
流行性結膜炎のほとんどは、ウィルスによるものです
ウィルス性結膜炎は非常に感染しやすく、病院内や保育所、職場などで、爆発的に流行することがあります
しっかり治るまで(多くは1週間以上)職場や学校、保育所など休む必要があります
家庭内感染もよく起こります
ウィルス性結膜炎そのものは、2週間程度で自然に治まるので、その間、他人にうつさないことが大切です
一般的に発症から2週間以内は他人に感染させる可能性があります
感染した人の涙や目やに(眼脂)の中には多量のウィルスがいます
そのウィルスが水場や濡れた衣類、タオルなどを介して伝染します
夏場にプールでウィルスをもらってくることもよくあります
目を触った手で、どこかに触る⇒違う人がそこに触り、自分の目に触ると、感染が広がっていく可能性があります
感染経路として
ドアノブ、プッシュボタン、手すり、キーボードやマウスなど、手に触れるものには可能性があります
※環境に付着したウィルスは、約1か月間は感染力を持って残っているといわれています※
周囲の人たち(家庭や職場や学校など)は、感染者の涙が付着する可能性のあるものを周知して、それに触れないよう、触れた場合は手洗いを念入りに行いましょう
また、共用したものは、消毒用アルコールを含ませた綿や布で拭いて、物理的にウィルスを除去しましょう
家庭内では、タオルの共用はしない、感染者はお風呂は一番最後に一人で入る(勿論、一人で入れる年齢の方の場合)、お湯は残さず流す、洗濯物は分けるなどの工夫が必要です
※ウィルスには、洗浄とアルコール消毒が有効です※
【ウィルスを原因とした結膜炎の種類】
〇流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)/流行性結膜炎=はやり目
アデノウィルスという感染力の強いウィルスによる結膜炎
角膜(黒目)にも炎症を伴うことがある
アデノウィルスに感染してから3~10日後に突然発症
(感染してから無症状の3~10日間を「潜伏期(せんぷくき)」という)
いくつかタイプがある
〇急性出血性結膜炎/流行性結膜炎
エンテロウイルスによる結膜炎
伝染性の高い流行性結膜炎
アデノウイルスによるものと比べると頻度は少ない
【症状】
充血
目やに(朝起きた時に目が開かないほどひどい場合もある)
涙
子どもの場合:発熱、倦怠感
発症した目の下まぶたの内側(眼瞼結膜がんけんけつまく)に、粘膜の隆起(=濾胞ろほう)が多くみられる
耳前リンパ節腫脹(じぜんリンパせつしゅちょう)=耳の穴の前にあるリンパ節が腫れる(約半数の人に起こる)
(見た目では分からないが、耳の前を押すと違和感や圧痛がある)
急性期を過ぎると角膜に混濁(角膜の表面に強いにごり)が残ることがある(☜ステロイド点眼薬を用いることがある)
片目のみに発症した場合:多くの人が数日以内にもう片目にも発症
発症して最初の4~5日は、点眼治療をしても充血や目やにの症状は改善せず、むしろ悪化することがある
⇒これは普通の経過で、発症してから10日から2週間程度で症状は自然に治まっていく
【治療】
現在、アデノウィルスに対する特効薬はありません
治療は点眼薬による治療をすることが多いですが、軽症の場合は無治療のこともあるようです
ウィルス性結膜炎では、細菌の混合感染を予防するためや炎症(充血)の改善目的に、抗菌点眼薬やステロイド点眼薬が処方されることがあります
治ったあとに、角膜の表面に強いにごりを残す可能性があるため、その予防に、ステロイド点眼薬の使用がなされることがあります
❕注意❕
長期間のステロイド点眼薬使用は、緑内障や白内障を引き起こす可能性があるため、いつまで点眼薬を使用するか、担当医に確認してください
また、決められた通りに受診してください
アデノウィルスによる結膜炎は、ほとんどの場合2週間で治癒します
もし、治らない場合は、クラミジア結膜炎やヘルペス性結膜炎の可能性もあります⇒症状がよく似ている結膜炎
※症状や治療方法については個人差がありますので、担当医に確認してください※
参考文献
「眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート」2018
監修 下村嘉一 編著 國吉一樹
2020/12/16