緑内障の治療法③手術治療
【緑内障の治療法③~手術治療~】
緑内障の手術の種類についてお話していきたいと思います
点眼やレーザー治療を行っても、視野障害が進行する緑内障は手術が必要です。
緑内障の治療の基本は眼圧を下げることです。しかし点眼やレーザー治療を行っても眼圧が十分に下がらない場合、あるいは視野障害の進行が止まらない場合には、手術を考慮する必要があります。
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹より引用(p78)
「緑内障は手術できるの?」、「手術ができるなら、早く治してください」と言われることがあります。
しかし残念ながら手術で緑内障は治りません。手術の目的は眼圧を下げて、緑内障の進行スピードを緩やかにすることです。さらに手術によって、緑内障点眼薬の種類を減らしたり、うまくいけば点眼薬が不要になる場合もあります。
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹より引用(p78)
緑内障手術は眼圧を下げるためにおこないます
眼圧を下げるために、房水(目の中の水)を眼外へ流れやすくしたり、新しい房水の流出経路を作ったりする手術が、緑内障の手術です
※以下の緑内障の手術(1)~(4)は、種類や患者さんの状態などにより、当院では実施せず別医療機関への紹介となる場合もあります※
【緑内障手術の種類】
(1)繊維柱帯切除術(せんいちゅうたいせつじょじゅつ)(トラベクレクトミー)
「バイパス手術」の一種です。
線維柱帯切除術では、黒目(角膜)と白目(強膜)の境の場所に小さな孔(バイパス)を開けて、そこから目の中の水(房水)が結膜の下に流れるようにします
房水が結膜の下にたまって小さな袋になります
この袋を「ブレブ」といいます
(2)新しいバイパス手術
小さなバイパス機器を角膜の縁に移植して、それを通して目の中の水(房水)を結膜の下へ逃がしてあげる「インプラント手術」です
房水が結膜の下にたまって小さな袋(ブレブ)になります
(3)繊維柱帯切開術(せんいちゅうたいせっかいじゅつ)(トラベクロトミー)
房水は、隅角の先にある「線維柱帯」というフィルターを通って眼内から血液中へ排出さ
れます
このフィルターの通りが悪くなると眼圧は上がってきます
線維柱帯を切り開いて房水を流れやすくする手術です
(4)緑内障チューブ手術
房水を眼外へ排出させる小さな機器を眼球に移植する手術が「緑内障チューブ手術」です
この機器は「チューブ」と「本体(ボディ)」からできていて、チューブを眼内に挿入し、そのチューブを介して本体を経て房水を眼外へ排出させます。チューブの内腔は詰まりにくくできており、安定して房水を眼外へ排出させることができます
参考(5)閉塞隅角緑内障/急性緑内障発作予防のための白内障手術
白内障手術は緑内障の予防や治療になる??
遠視の方(遠視の眼は隅角が狭い)で白内障が進行すると、
厚くなった水晶体により隅角が押されて更に隅角が狭くなる→閉塞隅角緑内障が悪くなる
もしくは、急性緑内障発作を起こすことがあります
白内障は目の中の水晶体がにごって、視力低下を引き起こしますが、白内障の進行により水晶体が少し厚くなり隅角を狭くしてしまいます
隅角が狭くなるということは、房水の排水口が狭くなる→房水が排出されづらくなる→眼圧が上がりやすくなるということです
白内障手術では、にごった水晶体を吸引除去し、代わりに眼内レンズを挿入します
眼内レンズは水晶体よりずっとうすいので、白内障のある水晶体のせいで狭くなっていた隅角が広がって、眼圧が上がりにくくなります
そのため、白内障の手術が眼圧が上がるのをおさえるのに有効なことがあります
その場合は早めの白内障手術が勧められます
※緑内障発作予防のための白内障手術は当院で実施しています※
※当院での白内障手術は日帰り手術です※
緑内障手術は視力を上げる手術ではありません。緑内障の進行を遅らせるために行う手術です。
緑内障の手術を受けると、しばらくは手術前よりも視力が落ちます。しかし多くの場合、視力は次第に戻ってきます。
手術のあと眼圧が下がりすぎた場合には、前述の低眼圧黄斑症(ていがんあつおうはんしょう)や脈絡膜剥離(みゃくらくまくはくり) が起こって視力低下の後遺症が残ることがあります。緑内障手術は、術後の眼圧のコントロールが思うようにいかないことがあります。そして、これらの合併症は100%防げるものではありません。
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹より引用(p83)
緑内障の手術はご紹介したようにいくつかあります
目の病状、状態、眼圧の数値、緑内障の種類などによって、最適な手術が選択されていきます
手術なので、後遺症やトラブルなどは残念ながらゼロにはできません
主治医の話をよく聞いて、納得された上で手術をご検討ください
※緑内障の手術の種類や患者さんの状態によっては、当院での手術は実施せず他医療機関への紹介となる場合もあります※
参考文献
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹
2020/8