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乳児の「なみだ目」と「目やに」~先天性鼻涙管閉塞~

乳児「なみだ目」「目やに」

 

先天涙道閉塞(せんてんるいどうへいそく)鼻性鼻涙管狭窄(びせいびるいかんきょうさく)

 

小さな赤ちゃんの、「目やに」や「なみだ目」は心配ですよね

考えられる原因をまとめましたので、参考になさってくださいね

 

「先天涙道閉塞」とは

涙道(※1)が生まれつき閉塞している病気です

原因はよくわかっていません

胎児期(お母さんのおなかにいる時期)に涙道(涙の通り道)がうまくできなかったからと考えられているようです

発生頻度は5~20人に1人という高頻度で、決して、お母さんの責任ではありません

 

(※1)涙道(るいどう)…

涙道は、目の内側から鼻の奥への(※2)の通り道

入口から

涙点(るいてん) ⇒上下の涙小管(るいしょうかん) ⇒涙嚢(るいのう) ⇒鼻涙管(びるいかん) (下鼻道(かびどう)

涙が流れていく

例えば、大泣きしたときに、鼻水が大量に出てくるのは、涙道を伝わった涙が鼻に流れ込み、鼻水に混じって出てくるから

 

(※2)

涙は目のそばにある涙腺(るいせん)で血液をろ過して作られる

作られた涙は、黒目(角膜)と白目(結膜)を潤した後、一部は蒸発し、一部は涙道を通って鼻へと流れる

 

 

【先天涙道閉塞の症状】

 

なみだ目(流涙(りゅうるい)

目やに(眼脂)

多くは生後2か月くらいから症状がでます

 

【先天涙道閉塞の分類】

 

①先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)

一番多い

鼻涙管が、鼻の奥(下鼻道)へ開口する所が膜により閉塞している

 

②涙道形成不全(るいどうけいせいふぜん)

涙道が完全につくられていない状態で、①先天性鼻涙管閉塞より重症

処置では開通できないので、涙管チューブ手術などが必要になる

※この手術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※

 

③涙小管形成不全(るいしょうかんけいせいふぜん)

広範な涙小管の形成不全は治療が不可能なこともあるので涙道専門家の診察が必要になる

※別医療機関への紹介となります※

 

【先天涙道閉塞の原因と治療】

治療方針は以下のものがあります

 

①経過観察

様子を見る

生後3か月までに80%が、生後12か月までに90%強が自然開通する

先天性鼻涙管閉塞は自然治癒することが多い

しかし、1歳で自然治癒しなかった場合には、治療に入院と全身麻酔が必要になることを念頭においておく

 

ブジー処置(先天性鼻涙管閉塞開放術)

医療用の針金(ブジー)をまぶたの内側にある涙点から挿入し、鼻涙管にある膜を強制的に破り、涙が通るようにする処置

(※詳しくはブジー処置の項目をご参照ください)

 

涙管チューブ挿入術

閉塞部位を広げて、癒着しないようにチューブを入れる方法

入院・全身麻酔が必要

※この手術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※

 

涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)DCR

鼻涙管の上部で袋状になっている部分【=涙嚢】の内側の粘膜と骨を削り、涙嚢から鼻腔にバイパスを作る

入院・全身麻酔が必要

※この手術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※

 

※②~④の処置・手術の適応・やり方については、個人個人で状況・症状が異なるので、担当医にお尋ねください

 

 

 

「鼻性鼻涙管狭窄」とは

 

先天涙道閉塞とよく間違えられる病気です

これは鼻炎副鼻腔炎により鼻涙管が狭窄するもので症状は先天涙道閉塞と似ています

閉塞ではなく狭窄ですので、涙道に水を通すと鼻まで流れます(通水試験)

鼻性鼻涙管狭窄は、耳鼻科で根気よく鼻炎治療を続けていくことが必要で、成長とともに症状がなくなることもあります

耳鼻科での治療で良くならない時は、涙管チューブ挿入術が必要になることもあります

これは入院して全身麻酔が必要です

※涙管チューブ挿入術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※

 

 

 

上記のように、乳児のなみだ目や目やにだと、先天性鼻涙管閉塞が疑われることもあります

先天性鼻涙管閉塞は、両目のことが多いですが、片目のこともあります

小さなお子さんの目やに・なみだ目のことで、気になりましたら、眼科受診をご検討ください

当院で診察した場合でも必要があれば別医療機関へ紹介いたします

 

 

 

 

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 金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹 

 

2020/11/12 

 

 

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