涙のう炎
涙嚢炎(るいのうえん)
涙のう炎とは…
目の内側にある「なみだ袋」に炎症が起きることです
なみだ目、目ヤニ、目頭近くが腫れる、痛いなどの症状がでます
「涙のう」とは…
涙は、目から鼻へ流れていきます
この涙の通り道が「涙道」です
目からでた涙は、まぶたの内縁にある涙点(るいてん)から⇒涙小管(るいしょうかん)⇒涙のう⇒鼻涙管(びるいかん)へ流れ込みます
※鼻涙管の閉塞・狭窄の部位や程度は、個人差があります※
※涙道の詰まっている場所も、その人その人によって変わります※
加齢などにより鼻涙管が閉塞すると、涙のう内で感染が起こり、炎症が起こります
鼻涙管閉塞の20%くらいが涙嚢炎(るいのうえん)になると言われているようです
鼻涙管閉塞のために、涙の流れが悪くなり、細菌感染が起こることで、 「涙のう炎」になります
初期症状は「なみだ目」(流涙)と「目ヤニ」(眼脂)です(=慢性涙のう炎)
感染力が強かったり、体の抵抗力が弱かったりすると、ときに化膿して、涙のう部から眼周囲が大きく腫れて、非常に痛くなります(=急性涙のう炎)
急性涙のう炎のベースには、慢性涙のう炎があります
抗菌薬の点滴などで、急性涙のう炎が一旦おさまったとしても、慢性涙のう炎は治ったわけではないので、急性涙のう炎はいつか必ず再発します
【涙のう炎の治療】
涙のう炎の治療の基本は手術です
涙管チューブ挿入術(るいかんチューブそうにゅうじゅつ)
涙のう鼻腔吻合術(るのうびくうふんごうじゅつ)
があります
※これらの手術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※
慢性涙のう炎だけであれば治ることもある
鼻涙管にチューブを通して、鼻涙管の閉塞をなくす治療
急性涙のう炎を起こすような場合は、鼻涙管が高度に閉塞しているので、こちらの方が成功率が高くなる
骨を切開し孔をあけて(=骨を削る)、涙の通り道をつくる治療
【手術を受けるタイミング】
急性涙のう炎は、急性期が落ち着いたら
※抗菌薬などで、たとえ一時的に炎症がおさまっても、何度も再発を繰り返し、自然に治ることはありません
慢性涙のう炎は、特に白内障手術の予定がある場合には、先にまず、涙のう炎の手術を
※目やにが多いと白内障手術後に細菌感染が起こり、失明するようなことがあるためです
※涙のう炎の手術は当院では実施しておらず別医療機関への紹介となります※
【手術しなくて治る方法は?】
涙のう炎は、手術以外に根治させる方法はありません
涙のう鼻腔吻合術を受けると、なみだ目と目ヤニは改善し、急性涙のう炎を予防することができるでしょう
手術を受けずに経過をみた場合は、症状は変わらないか、悪化し、更に、急性涙のう炎が起こる(再発)するリスクが高くなってしまうようです
なみだがあふれるのが気になったり、目ヤニがたくさんでるのが気になったら、眼科受診をご検討くださいね
※当院でも涙のう炎の診察は行いますが、手術適応となった場合は別医療機関への紹介となります※
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金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹
2020/11/27