眼球の外壁(角膜・強膜・ぶどう膜・虹彩・毛様体・脈絡膜・網膜)について
眼球の外壁について解説します
外壁は、外膜・中膜・内膜に分かれます
①外膜(繊維膜)について
厚さ約1mmで、この膜により眼球の形が保たれている
角膜(かくまく)と強膜(きょうまく)よりなる
【角膜】
透明な膜で、血管がない組織(=血管がないので、角膜移植の成功率が高い)
直径は成人でだいたい10~11㎜
眼球のうちで最大の屈折力を持つ(屈折力約43D)
5層からなり、栄養は角膜周囲の血管網、房水、涙からうけている
【強膜】
白色不透明な膜
角膜が強膜に移行する部分を輪部という
(※輪部…白内障などの手術時の切開創の目標とする部分)
強膜の表層に多くの血管がある繊細な弾性組織の薄い層がある=上強膜
②中膜(血管膜)について
虹彩(こうさい)・毛様体(もうようたい)・脈絡膜(みゃくらくまく)の3つを中膜というが、総称してぶどう膜という
【虹彩】
ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)の前部を占める薄い血管膜で、5層からなる
日本人では、茶褐色に見える人が多い
中央には円孔があり、これを瞳孔(どうこう)という
虹彩には、瞳孔括約筋(輪状になっている)・瞳孔散大筋(放射状になっている)があり、これらの働きにより、眼内に入る光の量がコントロールされる(=カメラの絞りの役割)
【毛様体】
虹彩と脈絡膜の間にある組織で、5層からなる
水晶体を厚くしたり薄くしたりする調節作用がある
房水を産生する
(※房水は、角膜、水晶体の栄養補給をし、眼圧に深くかかわる)
【脈絡膜】
ぶどう膜の後ろの部分を占める
強膜の内側にある
前部は毛様体に移行し、後方は視神経の侵入部の周囲まである
メラニン色素に富むため、黒く、瞳孔以外から光の眼内への進入を防ぐ
血管が豊富で、眼球内に栄養補給を行う役目を持つ
網膜と密接な関係を有する
③内膜(神経膜)=網膜(もうまく)について
【網膜】
外壁3層の一番内側の膜
網膜色素上皮を除いて透明
前部は毛様体に接し、後部は視神経乳頭縁で視神経に移行している
網膜は10層からなる
そのうちの1つの視細胞層には、明所視で働く錐体(すいたい)と暗所視で働く杆体(かんたい)があり、色覚(色の見分け)にもかかわる
網膜の黄斑部(おうはんぶ)は眼底の中心部のこと
黄斑の中に中心窩(ちゅうしんか)がある
網膜血管の発育は胎生4か月で始まり、8か月~9か月で血管は網膜の周辺部に到達するが、耳側の網膜周辺部は、鼻側の周辺部より視神経乳頭から遠いので、9か月で生まれると無血管帯ができる(=未熟児網膜症)
関連リンク
2021/1/14
参考文献
「眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート」2018
監修 下村嘉一 編著 國吉一樹
「眼科コメディカルのための眼科学ガイド」2005
編集・発行 社団法人 日本眼科医会 眼科医療従事者委員会