白内障の知識⑤眼内レンズは偶然に生まれた!?
皆様こんにちは(^^)
白内障は、目の中のレンズ組織【水晶体】がにごってくる現象で、多くは加齢が原因です
レンズが曇りガラスのように濁ってくるので、かすんでよく見えなくなります
にごりを取り除き、視力を回復するためには、
手術で濁った水晶体を吸引し、かわりに人工のレンズ【眼内レンズ】を移植(=白内障手術)するしかありません
当院でも、白内障手術の「水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術」を行っています
白内障の手術の歴史(詳しくは白内障の知識④白内障手術の歴史をご参照ください☆)の中で、
白内障治療を飛躍的に向上させたのが眼内レンズなのです
眼内レンズを入れることで、手術で取り出した水晶体の代わりに、モノを見る時のピント合わせができます
(眼内レンズが発明される以前は、白内障手術では、手術で水晶体を取り出した後のピントを合わせをするために、分厚い眼鏡が必要になっていました)
眼内レンズはどのようにして誕生したのでしょうか?
まさに偶然の産物だったようなのです
初めて眼内レンズを開発したのは、ハロルド・リドレーさんでした
彼は、イギリスの眼科医です
何故、眼内レンズを思いついたのでしょうか?
第2次世界大戦中、飛行機のコックピットを覆う天蓋(てんがい)の破片が目に突き刺さった戦闘機パイロットを彼は診察したそうです
通常なら炎症を起こして失明しているはずの目が、まったく炎症を起こしていなかったことに彼は驚きました
彼は「この素材なら、目の中で炎症は起こさないだろう」と考え、コックピットの天蓋と同じアクリル素材で眼内レンズをつくり、白内障の手術で取り除いた水晶体の代わりにしたそうです
当時はまだ、この眼内レンズを治療に用いるにはハードルも高く、一般に普及するには至らなかったようですが、初の眼内レンズはこのような経緯で考案されたものだったようです
眼内レンズの誕生には、驚きの出来事があったのですね
ちなみに、水晶体と人工眼内レンズの違いはどのようなものでしょうか?
生きている【水晶体】は弾力性があるので、遠くや近くに自在にピント合わせができます
(老眼になると近くにピントが合わなくなってきます)
白内障手術で移植する【人工眼内レンズ】は、
【単焦点レンズ】だと、
弾力性がないので、遠くにも近くにも自在にピント合わせをすることができず、理論的には1カ所にしかピントは合いません
つまり、遠くの景色をよく見えるようにレンズの度数を選べば、近くのものを見るのには老眼鏡が必要です
逆に、近くにピントを合わせたレンズ度数にした場合、遠くをはっきり見るためには眼鏡が必要です
【多焦点眼内レンズ】は、
この単焦点眼内レンズの欠点を克服するために開発されました
2焦点レンズでは、遠・近にピントが合います(必ずしもあらゆる場所にピントが合うわけではありません)
さらに、3焦点レンズもでてきています
遠・中・近にピントが合います
眼鏡が全く必要ない、とういわけではありませんが、眼鏡の依存度が減ります
今日の日本では、白内障の手術をするときに
単焦点眼内レンズ(保険診療)にするのか多焦点眼内レンズ(選定療養や自由診療)にするのか
を選べる時代になっています
そんな眼内レンズの誕生の理由を知っていると、まわりの人に一目置いてもらえるかもしれませんね(^_-)-☆
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参考文献
「手術法とレンズで選ぶ 白内障治療」2013
著者 市川一夫
発行 株式会社幻冬舎メディアコンサルティング
「眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート」2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹