眼科の豆知識~画家モネと白内障~
皆様こんにちは
今回は、眼科の豆知識についてお話したいと思います(^^)/
オスカー・クロード・モネ(1840-1926)をご存じですか?
私は芸術・絵画はほとんど知りません(;^ω^)
モネと言えば「睡蓮」、美術の教科書にも載っていた画家、有名な画家、印象派など
思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このモネ氏も、白内障に悩まされた人の一人かも知れません
モネ氏は72歳の時に両目の白内障と診断されたようです
(※白内障は、目の中の【水晶体】が加齢などの原因により、にごってしまい、まぶしく感じたり、見えづらくなってしまう病気です)
モネ氏の作品を発表順に見ると、人の加齢がモノの見え方にどのような影響を及ぼすかがわかるようなのです
たとえば
【「睡蓮の池」日本の橋】という同じ構図の絵を、
59歳の時に写生したものと
78~82歳の時に写生したものとでは
白内障発症前と発症後になり、だいぶ違っています
(ここには絵を載せられなくてごめんなさい)
白内障発症後の絵は
対象の橋の輪郭もはっきりとせず、色も黄色やオレンジで塗られています
どうしてかといいますと、歳をとってから水晶体がにごる(=白内障になる)と、黄色く濁り、外界が黄色っぽく見えるようになるからのようです
白内障の影響がでているようなのです
モネ氏は、絵画や写生に白内障の影響が出ていたにもかかわらず、手術を拒み続けたそうです
その結果、82歳の時に、右目はほとんど見えなくなり、左目の視力もわずかになってしまいました
そのころモネ氏は
「ベートーベンが耳が聞こえないのに音楽を作曲したように、私は見えないのに絵を描く」
と言っていたようです
この頃のモネ氏は絵に青系の色をあまり使いませんでした
なぜなら、濁った水晶体が青・紫の色などを通さなくなり、青系の色と黒の区別がつかなくなったと考えられているようです
ついに1922年、当時のフランス首相クレマンソー(1841~1929)のすすめによって、モネ氏は、右目の白内障手術を受けることになります
手術後に彼は
「左の白内障眼で見ると、すべてが黄色に見えるのに、手術した右目で見ると、すべてが青っぽく見える」といったそうです
(この片方ずつの異なった見え方を描いたのが、パリのマルモッタン美術館にある『バラ園からみた家』(1923年)だそうです)
白内障は、見えづらくなる、まぶしく感じるようになるということ以外に
色の見え方にも影響を及ぼしてしまうようです
色彩は画家にとってはより重要なものだったと思います
今日の日本では、
白内障は適切な時期に適切な治療を受ければ決して怖い病気ではなくなっています
更には、白内障手術の際に目の中に挿入する眼内レンズの種類も多種多様になり、
選べる時代になっています
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金沢文庫アイクリニック 稲澤
参考文献
『眼に効く 眼の話』2003
(著者)安達惠美子
(発行)株式会社 小学館