緑内障の治療法いろいろ③~レーザー治療~
緑内障の治療法いろいろ③~レーザー治療~
皆様こんにちは
金沢文庫アイクリニック 検査員 稲澤です
今回は、緑内障の治療法の1つ、レーザー治療についてお話します
緑内障の治療の基本はまず、「眼圧を下げること」です。しかし治療により眼圧が下がっ
ても視野障害が進む場合には、さらに眼圧を下げなければなりません。
眼圧を下げる手段は3 つあり、①点眼薬、②レーザー治療、そして、③手術、です。
まずは点眼薬で眼圧を下げます。点眼薬には現在、さまざまな種類のものが開発されてい
ます(「緑内障の点眼治療」の項を参照)。点眼薬をいろいろと工夫して眼圧がある程度下
がっても視野障害が進むことがあります。あるいは副作用などにより十分な点眼薬を続行す
ることが不可能な場合があります。そのときには、レーザー治療や手術を考慮します。レー
ザー治療は補助的な治療で、手術は最終手段となります。
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹より引用(p65)
緑内障のレーザー治療には、
①レーザー虹彩(こうさい)切開術(せっかいじゅつ)
②レーザー繊維(せんい)柱(ちゅう)帯(たい)形成(けいせい)術(じゅつ)
があります
①レーザー虹彩切開術…
閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)の治療、
特に、急性緑内障発作の予防や治療のためにおこなう
閉塞隅角緑内障の人は、隅角(目の中に流れる房水の排出されるところ)が狭く、房水が排出されづらいことによって眼圧が上がります
(房水が排出されないことにより目の中の圧があがる)
眼圧を下げるために、房水を排出しやすくするため、レーザーで虹彩(茶色目)のすみに小さな孔を開けて、房水の通りをよくする治療(房水の通り道をレーザーでつくる)
欠点としては、レーザー照射後数年して角膜(黒目)が白く濁ってしまう病気(水泡性角膜症)が起こり視力低下につながる場合や、経過によっては孔が閉じてしまい再度レーザーする必要があることもあります
②レーザー線維柱帯形成術…
開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)に対する治療
緑内障を根治するものではなく、点眼治療の補助や、点眼薬の種類を減らしたりする目的でおこなう
虹彩の付け根のそばにある線維柱帯(目の中に流れる房水の出口で、網の目のフィルターのような組織)という部分にレーザーを照射する。繊維柱帯(のフィルター)が目詰まりを起こすと房水が流れにくくなり眼圧が上がるため、目詰まりを改善して眼圧を下げる治療
レーザーの効果や維持できる期間は個人差があり、効果が弱まってきた場合は再度レーザーすることもあります
※補足
『房水は最後どこに流れるの??』
眼球の中には、「房水」という水が循環しています
房水は無色透明で水より少し粘度が高くなっています
目の中の毛様体(もうようたい)で房水は作られ、後房→瞳孔→前房→前房隅角→シュレム管→強膜内の静脈といろいろな箇所を通り、眼球外に排出されます
房水は最後、体の中の血管、血液に排出されます
房水は最後、涙となって排出されるわけではないのです(←こう思っていた人いませんか?私は実は…)
房水の役目は、
①角膜内面、隅角繊維柱帯、水晶体に栄養補給をし、これらの老廃物を除去すること
②房水の産生と排出のバランスにより眼圧を維持(→排出が悪いと眼圧が上がる)
です
眼圧と房水の関係は切っても切れない関係なのです
当院でのレーザー治療は、日帰り治療です
基本的に予約制ですが、緊急を要する場合は受診当日におこなうこともあります
点眼治療とレーザー治療を行っても眼圧が十分に下がらない場合は、
緑内障手術(場合によっては白内障手術)が必要になってきます
それについては次の記事でまたお伝えします
緑内障の治療法いろいろ④につづく(9/29更新予定)
参考文献
【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018
金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹
【眼科コメディカルのための 眼科学ガイド】2005
日本眼科医会 眼科医療従事者委員会
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