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緑内障の治療法いろいろ③~レーザー治療~

[2020.09.22]

緑内障の治療法いろいろ③~レーザー治療~

 

皆様こんにちは

金沢文庫アイクリニック 検査員 稲澤です

 

今回は、緑内障の治療法の1つ、レーザー治療についてお話します

 

緑内障の治療の基本はまず、「眼圧を下げること」です。しかし治療により眼圧が下がっ

ても視野障害が進む場合には、さらに眼圧を下げなければなりません。

眼圧を下げる手段は3 つあり、①点眼薬、②レーザー治療、そして、③手術、です。

まずは点眼薬で眼圧を下げます。点眼薬には現在、さまざまな種類のものが開発されてい

ます(「緑内障の点眼治療」の項を参照)。点眼薬をいろいろと工夫して眼圧がある程度下

がっても視野障害が進むことがあります。あるいは副作用などにより十分な点眼薬を続行す

ることが不可能な場合があります。そのときには、レーザー治療や手術を考慮します。レー

ザー治療は補助的な治療で、手術は最終手段となります。

【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018

金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹より引用(p65)

 

 

緑内障のレーザー治療には、

①レーザー虹彩(こうさい)切開術(せっかいじゅつ)

②レーザー繊維(せんい)柱(ちゅう)帯(たい)形成(けいせい)術(じゅつ)

があります

 

①レーザー虹彩切開術…

 

閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)の治療、

特に、急性緑内障発作の予防や治療のためにおこなう

閉塞隅角緑内障の人は、隅角(目の中に流れる房水の排出されるところ)が狭く、房水が排出されづらいことによって眼圧が上がります

(房水が排出されないことにより目の中の圧があがる)

眼圧を下げるために、房水を排出しやすくするため、レーザーで虹彩(茶色目)のすみに小さな孔を開けて、房水の通りをよくする治療(房水の通り道をレーザーでつくる)

欠点としては、レーザー照射後数年して角膜(黒目)が白く濁ってしまう病気(水泡性角膜症)が起こり視力低下につながる場合や、経過によっては孔が閉じてしまい再度レーザーする必要があることもあります

 

②レーザー線維柱帯形成術…

 

開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)に対する治療

緑内障を根治するものではなく、点眼治療の補助や、点眼薬の種類を減らしたりする目的でおこなう

虹彩の付け根のそばにある線維柱帯(目の中に流れる房水の出口で、網の目のフィルターのような組織)という部分にレーザーを照射する。繊維柱帯(のフィルター)が目詰まりを起こすと房水が流れにくくなり眼圧が上がるため、目詰まりを改善して眼圧を下げる治療

レーザーの効果や維持できる期間は個人差があり、効果が弱まってきた場合は再度レーザーすることもあります

 

※補足

『房水は最後どこに流れるの??』

 

眼球の中には、「房水」という水が循環しています

房水は無色透明で水より少し粘度が高くなっています

目の中の毛様体(もうようたい)で房水は作られ、後房→瞳孔→前房→前房隅角→シュレム管→強膜内の静脈といろいろな箇所を通り、眼球外に排出されます

房水は最後、体の中の血管、血液に排出されます

房水は最後、涙となって排出されるわけではないのです(←こう思っていた人いませんか?私は実は…)

 

房水の役目は、

①角膜内面、隅角繊維柱帯、水晶体に栄養補給をし、これらの老廃物を除去すること

②房水の産生と排出のバランスにより眼圧を維持(→排出が悪いと眼圧が上がる)

です

 

眼圧と房水の関係は切っても切れない関係なのです

 

 

当院でのレーザー治療は、日帰り治療です

基本的に予約制ですが、緊急を要する場合は受診当日におこなうこともあります

 

 

点眼治療とレーザー治療を行っても眼圧が十分に下がらない場合は、

緑内障手術(場合によっては白内障手術)が必要になってきます

それについては次の記事でまたお伝えします

 

緑内障の治療法いろいろ④につづく(9/29更新予定)

 

緑内障の治療法いろいろ①

 

緑内障の治療法いろいろ~点眼治療~②

 

 

 

 

参考文献

【眼科インフォームド・コンセント ダウンロードして渡せる説明シート】2018

金芳堂 (監修)下村嘉一 (編集)國吉一樹

【眼科コメディカルのための 眼科学ガイド】2005

 日本眼科医会 眼科医療従事者委員会

 

 

 

 

 

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